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石 小 日 記

濃厚な話

公開日
2025/12/16
更新日
2025/12/16

日々のできごと

 6年3組が地域の見守り会のみなさまを招いて、平和学習の発表会を企画しました。今日がその当日だったのですが、予想していたよりもお客さんが少なかったようで、「校長先生も来てください!」と声をかけられ、何人かの先生とともに、発表を聞くだけでなく、グループ討議にも参加しました。


 討議のテーマが、①今と昔の「平和」の違い ②なぜ戦争がなくならないのか というものでした。

 私の参加したグループの子たちは、①について、単に戦争がないというだけでなく、貧困や差別がなくなることが大事だ、という話をしていました。私も意見を聞かれ、近現代史のかんたんな話から、例えば過去、不景気から抜け出すためとか、石油を止められて、資源を確保するためなどといった理由で戦争に突入していったこと、今、世界で起こっている戦争や紛争を踏まえても、武力ではなく話し合いで解決する外交力が大事で、これからの時代を生きるみんなは、話し合いの力をつけていくことが大事なんだ、という話をしました。

 ②について、どの国も自分の国のことだけを考えてしまうからという意見が出ました。とても的確です。私も意見を聞かれ、例えば、クラスのもめごとは先生に言って間に入ってもらうとか、社会生活の中では警察に頼るとかいろいろあるけれど、国と国との間には、そのような機関がほぼない。残念ながら国連はその機能を果たせていない。なぜなら常任理事国が自ら……だしね……。国連にしっかりしてほしいね。などと話をしました。いずれにせよ、意見の違いはあっても話し合いの力をつけることが大事なんだという感じで。


 6年生は社会科で憲法をはじめ公民的分野の学習も歴史的分野の学習も行います。小学生ですから内容はかなり基礎的なことではあるのですが、修学旅行などの平和学習も含め、いろいろと深い思考ができるようになります。

 グループの子たちに、 「低学年の頃には考えられない話の内容だったね。すごいねえ。」と話をしたら、少し照れ臭そうでした。


 いろいろと反芻しながら校長室に戻ったら、5年生の子たちが待ち構えていました。

「校長先生、インタビューがあります。」

「国語で『アンパンマンの勇気』という作品を勉強しています。やなせたかしさんの伝記です。ところで、校長先生にとっての『正義』とはなんですか?」

 むむ……これもなかなか難しい質問です。

 「ろうかを走らない」ということは正しいけれど、例えば誰かが大けがをして先生に知らせるとき、ろうかを走るのは仕方がないかもしれない。むしろ、走ってでも早く対応しないといけないかもしれない。つまり、頭ごなしに「ろうかを走るな!」が正しいとは限らない。そう考えると、正しいことを振りかざすより、まずは「相手の話をよく聴く」つまり「傾聴すること」かな……それが校長先生にとっての「正義」かもね、と答えました。基本、「あかんものは、あかん!」というタイプの人間ではあるのですが。


 図らずも、5・6年生からなかなか濃厚な質問が投げかけられました。こういう時に、ごまかさずにちゃんと答えることはとても大事だと思っています。多少難しい内容や表現が入っていても。という感じで、子どもたちの成長を強く感じずにはいられませんでした。


 校長 柏