日常のアナキズム
- 公開日
- 2021/12/07
- 更新日
- 2021/12/07
はたしょう日誌
昨日の朝日新聞に「自律と助け合い 日常のアナキズム」という記事がありました。私はアナキズムを無政府主義=国家を否定する過激思想と認識していましたが、ここで紹介されている文化人類学者の松村圭一郎さんは、アナキズムは秩序を壊す思想ではなく、自分たちの問題を権力に頼らずに話し合い、解決していくことをめざす自律と相互扶助の態度であるとしています。一例に、松村さんが経験した熊本地震をあげています。当時、役所が機能不全に陥っていたときに地元の人々が自発的に助け合って非常事態を乗り越えたことを挙げ、これこそが21世紀にめざすべきアナキズム像の一つだと確信したと述べています。この身の回りの問題から人類の抱える課題を自発的に解決していく姿勢は、SDGsに通じるもので、実は今回の自然学舎でも、宿のグリーンホテルやまなみさんが実践されていました。それが、自然学舎最初の活動である竹箸作りでした。物を使い捨てしないことから環境問題を考えていく取り組みです。身近なことからさまざまなことを想像し考えること。ここから私たちの未来へ向かう生き方が見えてきます。そういう意味では自然学舎は非日常経験であったとともに、未来を創造する礎になる考えを学んだといえるでしょう。
学校でもふだんの授業で子供たちは想像し考える活動に当然ながら取り組んでいます。漫画『ドラゴン桜』で伝説の国語教師芥川(でしたっけ)は、国語の授業で生徒を街に連れ出し、看板に注目させます。戸惑う生徒に「英語、中国語、韓国語の看板からわかることを想像し考えよ」と述べます。想像して考えた生徒は、近年の日本の社会構造の変化から渡日外国人の増加に気づいていきます。それが文章の行間を読むということにつながっていきます。想像し考えることから学問は出発し、社会をよりよく変えていくことができる子供たちが生まれます。
今、6年生も想像し考える国語の学習に取り組んでいます。具体的には、高畑勲さんの「『鳥獣戯画』を読む」を学習し、その要旨を考えています。子供たちは、筆者がいったい何を伝えようとしていたのか。鳥獣戯画は素晴らしいということを超えた筆者の意図を読み取っていきます。子供たちは必死に想像し考えています。これは日常のアナキズムの基盤を作っていく耕しなる学習であると考えます。人は幸せを作るために学ぶのです。