心の声
- 公開日
- 2020/06/30
- 更新日
- 2020/06/30
はたしょう日誌
今年も恒例の「はたの俳句コンテスト」を実施しています。7月22日が応募締め切りで、現在、どんどん俳句が集まっています。表彰は終業式です。1学期のテーマは毎年「夏」。応募句もこれまでは夏休みの楽しさを詠むものがほとんどでした。しかし、今年は、コロナ禍の子供の心がにじみでた句が少なくありません。読みながら「そうか・・そうなんだ」と、ほろりとすることもたびたびです。私は、句を読みながら、どうしても子どもたちの心の一端をお伝えしたくなりました。そこで本来なら、表彰までは入賞するしないに関わらず、応募句の公表は控えるのですが、ここで特別にいくつかの句を紹介することにしました(なお、紹介した句も締め切り後に厳正に審査します。紹介したからといって審査外になりませんのでご安心ください)。
●夏まつり店やおどりや楽しいよ ●夏まつりゆかたでいこうともだちと
中学年の子供の二つの句からは、「今年もいつも通りの夏が来る、そして、そこにはお楽しみの夏まつりがあり、浴衣で着飾って友だちと出かけることが本当に楽しみ!」という子供の願いがよく伝わってきます。ここにはコロナ禍であってもいつもの日常があると思っている子供の純な心があります。しかし、コロナ禍の現実は厳しいものです。「苦渋の決断でしたが、今年は感染予防を第一にせざるをえません」と、現在、続々と夏祭り、盆踊りの中止の連絡が入って来ています。
●夏の日の祭り無きこと悲しけり ●夏祭り今年はないよかなしいな
夏祭りの中止をすでに知っていた高学年の子供たちから吐露される言葉は「残念」「つまらない」ではなく「悲しい」でした。昨年度末から何か月も我慢に我慢を重ねてきた子供たち。「せめて夏は楽しみたい」そんな思いもコロナが邪魔をする現実。先日地域の方からお電話をいただきました。「子供たちのために秋にはなんとかいろいろな行事ができるように祈っています」温かい心が伝わってきました。
●空見れば打ち上げ花火空にまう ●夏の桜今年はさかない打上花火
前の句は中学年の子供のもの。毎年恒例の花火の姿を「空にまう」と表現しました。その素敵な光景が今年もきっとみられる。そんな子供の純粋な願いがうかがえる素敵な句です。しかし、現実は・・・。花火を桜と見立てている後句。高学年の子供の句です。毎年夜空を彩ってきた夏の桜。その桜が今年は咲きません。真っ暗闇の夏の夜空があるばかりです。言外からは、控えめですが、心の底からもれる子供の悲しさや寂しさが伝わってきます。
短いからこそ心に響く子供たちの心の声。これからもしっかりとその声に耳を澄ましていきたいと思っています。